【院長コラム】 No.9 歯科医師記念日と歯科医療
5月2日は歯科医師記念日です。なぜ5月2日になったかといいますと、
1906年(明治39年)の5月2日に、歯科医師の身分や業務を確立する旧「歯科医師法」が施行されました。同年に旧「医師法」も施行され、これにより、医科と歯科は完全に分離し、医療と歯科医療が別個の独立した存在となりました。また、免許も医師と歯科医師に分かれました。その日を記念して、1957年(昭和32年)に日本歯科医師会(日歯)が制定したということです
この旧歯科医師法ができたいきさつを正しく理解している歯科関係者は少ないようです。
医師法という医師に関する法律の必要性が関係者の間で具体的に論じられるようになったのは明治30年頃からです。当時の歯科医師の団体である「日本歯科医会」もこの医師法の制定には注目していました。当初歯科医師たちは歯科医師もこの医師法の対象になると思っていましたが、東京帝国大学医学部出身のエリート医師集団である「明治医会」は歯科医師に医師法を適用することに断固反対しました。その理由は、歯科医師は「医師」ではなく「職人」だということでした。結局医師法の対象にならない歯科医師達は慌てて歯科医師法を作ったというのが歴史上の事実です。
歯科医師が増え、医師との違いが明確になってきたから、医師法と歯科医師法を別に作ったわけではないのです。
現在の歯科医師が行っている仕事の内容はどうでしょうか。削って詰める、歯を殺してかぶせる、歯を抜いてインプラントを入れる、歯を白くする、歯に白いものをかぶせる、歯を動かして歯並びを良くする。これらの行為に医療と呼べるものはあるでしょうか。
いずれの行為も病気を治す行為ではありません。詰める物の材質が変わり、入れ歯がインプラントになるという変化はありましたが、歯大工仕事をやっている職人であることに変わりはありません。
歯科医師が歯と口の病気を治している医師だとしたら、なぜ目や耳の病気を治している医師と社会的評価や大学に入学する際の難易度に大きな差が出るのでしょうか。それは一般的に歯科医師が病気を治す存在ではないからです。
歯科医師法ができて116年経っても、歯科医師の仕事は本質的に変わっていないのです。
そのような歯科界ですが、当クリニックは少しでも患者さんのために歯と口の病気を治す医師として、日々研鑽し頑張っていきたいと思います。
2022年05月02日 15:41