歯科医療とはなにか
歯科医師は何をしているのか
「歯医者さんとはなにをする人ですか」と聞かれたら皆さんは何と答えるでしょうか。
ほとんどの方が「歯を削って詰める」「神経を取ってかぶせる」「歯を抜いて入れ歯を入れる」などと答えると思います。
また最近は「歯を白くしたり、歯並びをきれいにする。」「歯が無いところにインプラントを入れる。」と答える方もいるかもしれません。
確かに統計や調査からもほとんどの歯科医師はこれらを日常の仕事になっているようです。
このような状況から歯科医師も患者さんもこれらの処置を歯科の治療だと当然のように考えています。
ほとんどの歯科医師は治療をしていない
治療とは皆さんが考えても分かるように、病気や異常な状態を治して、正常な状態にすることです。不治の病でもない限り、治療を行なえば病気は治るはずです。
そこで皆さんに考えてもらいたいのですが、歯に詰め物をしたり、かぶせても病気が治るわけではないということは分かると思います。体中のどんな病気でも金属をかぶせて治るような病気はありません。
詰めたりかぶせたりするということはむし歯で形が壊れた歯の修復処置でしかありません。
同じように一般的に行われている処置を考えてみると、歯並びをきれいにすることは一部を除き美容の範疇ですし、歯を白くすることはエステみたいなものです。
歯を抜くことも歯科医療の敗北であり、その結果入れ歯を入れたりインプラントを入れることは病気に負けた後の敗戦処理のようなものであって、治療ではありません。
本当の歯科医療とは…。
歯科医療は歯の健康を回復し、保持するためのものです。
歯科医師を口腔の医療を行うことと定義すれば、口の周りには歯や歯ぐきだけでなく、顎の骨や頬の粘膜、舌、顎の関節、骨についている筋肉などいろいろな器官があります。
それら全ての器官の健康を回復し生涯にわたって保持し続けることが本当の仕事のはずです。
入れ歯を入れたり、インプラントを入れることは歯科医療の一部かもしれませんが、医療として考えた場合、本来はそれらは無くなっていくことが理想のはずです。
単純にインプラントをたくさん入れているとか、まったく入れていないかで歯科医師の能力を判断するようなことはできません。
歯科医師の能力とは口腔の器官を健康な状態にする能力です。
少なくとも歯を失う2大疾患であるむし歯と歯周病を完全に治すことのできる歯科医師が本当に歯科医療を行う能力を持っているのです。