【院長コラム】 No.10 歯科医師とブラックジャック
私達歯科医師は医療従事者ということで昨年から始まったコロナワクチンの接種を一般の人たちより少し早く受けることができました。今回医療従事者には事務の方まで含まれていましたが、基本的に医療従事者というのは当たり前のことですが医療の仕事している人たちのことです。それでは医療というのは何でしょう。
『広辞苑』で「医療」の項目を引くと,「医術で病気を治すこと」と説明しています。
簡単な文章ですが明確に説明しています。それでは医術とは何かというと病気や傷を診察・治療する技術のことになります。
この技術を持っている人が医療従事者ということになります。
医師、歯科医師、看護師、理学療法士、言語聴覚士、などがたくさんあります。
これらの職業に共通していることは全部国家資格で国家試験に合格しないと資格が取れないことです。
皆さんは公益社団法人ACジャパンが放送している骨髄バンク登録を勧める公共広告を知っていますか。
CMの内容としては、ブラックジャックのような天才医師がいても、ドナーがいなければ、治せない患者さんがいます。
年間でおよそ2000人以上の方々が、骨髄バンクで、ドナーを探しています。
天才だけでは救えない
だから、あなたもドナー登録を、
あなたのドナー登録が、患者さんの命を救う
というものです。
「天才だけでは、救えない」
というテーマのCMです。
公益社団法人ACジャパンのホームページで見ることもできるので、是非とも見てほしいです。
メッセージとして、とても重要で、多くの方々に伝えるべきことだと思います。
CMの揚げ足を取るつもりはありませんが、ブラックジャックは医師ではありません。なぜなら彼は医師の資格を持っていませんから、正確に言うと無資格の医師ということになり、法的には医療行為はできません。ドナーがいても法的にはブラックジャックは治療することができないのです。
資格があることと能力があることは同じではありません。能力があっても資格がなければ医療行為はできないのです。
医療従事者の話に戻りますと、歯科医師は顎口腔領域の医療を行うことが法的に認められた国家資格をもった人たちです。
つまり歯科医師は法的には医療従事者です。しかし歯科医師は本当に医術で病気を治しているでしょうか。
多くの歯科医院がHPで紹介している診療内容はインプラント、歯列矯正、ホワイトニング、審美歯科と称して白いものを詰めたりかぶせたりすることだけです。
これらは医療行為ではありません。なぜならこれらの行為を行っても病気が治るわけではないからです。
インプラントを入れた時からその周りはインプラント周囲炎という病気が始まります。歯列矯正のほとんどは美容を目的としたものですし、ホワイトニングや審美歯科は美容目的でしかありません。
歯科医師は医療従事者です。ブラックジャックにはできない医療行為が法的に堂々とできる職業なのです。
歯科医師は昔歯大工と言われ医師に馬鹿にされていたといいますが、今でも多くの歯科医師が行っている行為は歯大工仕事と言われても仕方ありません。
歯大工行為を教える歯学部の人気が医学部より低いのは当然の成り行きかもしれません。
2022年05月31日 16:27