院長コラム No14 歯科医師の能力と良心
先日、他院で治療中の歯が痛く、顔まで腫れてきたという患者さんが初診できました。話を聞くと、患者さんは、歯が痛いので近くの歯科医院に行ったところ、当日は応急処置をして薬をもらい、次回の予約は2週間後と言われ、予約を取り帰りました。
しかし、翌日になっても痛みは変わらず、2日後には顔まで腫れてきたのでその歯科医院に行ったところ、そこの歯科医師は原因の歯の処置を何かして、次回の予約は2週間後に入っていますから、その日に来て下さいと言ったそうです。
その翌日、腫れも痛みも益々ひどくなってきたため電話をしたところ、今日は混んでいて診ることはできないと断られてしまったというのです。ひどい話です。
また、ある患者さんは右上の歯がしみるということで、近くの歯科医院に半年通院していました。半年通院しても症状が改善しないと話したところ、かみ合わせが悪いからしみるので、かみ合わせを治すためには歯列矯正が必要だ、費用は50万かかると言われたというのです。びっくりした患者さんは本当に歯列矯正が必要なのか、しみる原因は何か診て欲しいと来院しました。
レントゲンを撮ってみると、しみるという歯には歯随まで達した大きなむし歯がありました。
しみる原因は知覚過敏ではなく進行したむし歯だったのです。
患者さんに通院中レントゲンを撮らなかったのか聞いてみたところ、一度も撮ってないというのです。しみるという歯の診断をするのにレントゲンを撮らないというのは歯科医師として信じられないことです。
レントゲンも撮らずに50万円で歯列矯正を勧めるとは歯科医師の基本的な能力を疑がってしまいます。
歯科医師の能力は患者さんにはわからないのです。
また、先日歯ぐきが腫れて来院した患者さんは、ある歯科医院に数年通院して、その後メインテナンスということで3か月ごとにその歯科医院に通院していたと言います。レントゲンを撮ってみますと全顎に進行した歯周炎が認められました。今まで通院していた歯科医院では歯周病の話は全く聞いたことがないと言います。それどころか、ここ1年半歯科医師に口の中を見てもらったことがないというのです。歯科衛生士がメインテナンスと称して何らかの処置を続けていたようです。
例えばリハビリで通院する機会が多い整形外科では、理学療法士がリハビリだけをする日もありますが、定期的に医師が診察して、その効果を判断していると思います。
それが医療というものです。
患者さんを定期的に来院させて1年以上医師が診察しないという病院や診療所は絶対ありません。
今回紹介した3つの歯科医院の歯科医師は医療を行う能力も良心もないようです。
患者さんがかわいそうです。
2022年10月02日 14:16