佐倉歯科口腔クリニック|むし歯・歯周病|さいたま市大宮区

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院長コラム No.16 見た目ばかり気にする歯医者と患者

先日、さいたま市が実施している妊婦健診を希望した方が来院しました。
さいたま市では以前各区の保健センターで行っていた妊婦健診を数年前から、自宅近くの歯科医院で受けることができるようになりました。
この妊婦健診は歯科医師会がさいたま市から委託されている事業ですので、歯科医師会の会員でないと実施することができません。
当院を受診した妊婦さんもかかりつけの歯科医院があるのですが、そこの歯科医師が歯科医師会の会員でないため当院に来たということでした。
妊婦健診ではむし歯の有無や歯周病の状態、その他口の中に問題点がないかを診ます。
その妊婦さんの口の中にはむし歯もありましたし、歯ぐきからの出血も著明で歯周炎の疑いもある状態でした。
妊婦さんに聞くと今通院している歯科医院での治療は終わり、今は定期検診で通院しているというのです。
どのような治療をしてきたのですかと聞いたところ、歯列矯正をして、奥歯に白いかぶせ物をして、歯の根が出て見た目が気になるところは歯肉を移植して、ホワイトニングもしたというのです。
この妊婦さんの話を聞いて、今まで通院していた歯科医院の歯科医師は典型的なデンティスト(歯大工)だということが分かりました。
歯列矯正も白いかぶせ物もホワイトニングも歯の根を歯肉でカバーすることも病気の治療ではありません。見た目が良くなることはあっても病気が治るわけではありません。
見た目が良くなることと病気が治ることは全く別のことです。
結局その妊婦さんはむし歯という病気も歯周炎という病気も治療されず放置されてきたわけです。
患者さんの中には見た目を気にして来院する人も少なくありません。確かに見た目を良くすることも必要ですが、それは病気が治った後に考えることです。
医科の診療科目には形成外科という診療科があります。形成外科とは失われた機能や外貌を修復する診療科です。具体的には体表面の形態や機能の異常を治療する科です。また、「創傷の専門家」としてきず、きず跡、治らないきずをより早く、よりきれいに治す事を得意とする診療科です。
例えば乳がんで失った乳房を再建するのも形成外科の大切な治療です。
しかし、多くの歯科医師は見た目を直すことばかりに目が行き、病気を治すことに関心がないようです。審美歯科やホワイトニング、歯列矯正を診療科目の中心においている歯科医院がとても多いことは困ったことです。
今回の妊婦さんは、どうしてもかかりつけの歯科医院に通院したいというので、よく相談して見るように話しましたが、病気の治療をしてもらえるか心配です。
 
2022年12月30日 09:51