佐倉歯科口腔クリニック|むし歯・歯周病|さいたま市大宮区

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院長コラム No.18 レジン充填よりインレー修復を

むし歯の治療の最後には何らかの詰め物をすることになります。
 この詰め物、最近メディアで悪者になっているのが、「銀歯」です。 正式には保険適応の「12%金銀パラジウム合金のインレー」と言います。
 ある医療ジャーナリストよれば、「銀歯」は、時代遅れの治療法だと言います。
先日もある週刊誌に、奥歯にもインレーよりレジン充填を勧めるという記事が掲載されていました。
 その理由は 「銀歯治療は、小さな虫歯でも、健康な部分まで大きく削って広げていました。また、長期間経過すると、銀歯と天然の歯の間に隙間が空いて、虫歯の再発が起きやすい。その結果、歯の寿命が短くなってしまうのです」ということだそうです。
 
 確かに最近は『レジン修復』という合成樹脂を詰めることが主流になりつつあります。しかし、日本では"欠ける、割れやすい"といって敬遠する歯医者が、今も少なくありません。
 臨床試験で銀歯と同等の耐久性が証明されていると言われていますが、本当にそうでしょうか。
 ある大学の研究によりますと銀歯の平均寿命は8年だそうです。つまり8年くらい経つとほとんどの詰め物が何らかの理由でやり直すことになるようです。 レジン修復が同等の耐久性ということは8年くらいで再治療になるのでしょう。
 
 インレー修復による耐用年数が8年ということは私の所属する近代口腔科学研究会会員の臨床経験からすると恐ろしく低レベルの治療ということになります。
 
 全てに理想的なむし歯治療を行って、インレーで修復すれば30年でも40年でも再治療の必要ない修復処置は可能なのです。 レジン修復に20年30年の耐用年数を期待することは絶対無理です。
 
 むし歯が進行し修復処置が複雑で大きくなればなるほどレジン修復の精密さと耐用年数は落ちてくるでしょう。
 
 レジン修復は、手間がかかるのでやればやるほど、歯科医が儲からない治療だという意見もありますが、30年40年と再治療なしのインレー修復をするほうがその何倍も手間がかかるのです。
 
 病気の治療法を比較する場合、どちらの治療法も正しく行われていなければなりません。 未熟な技術で行われた治療方法を取り上げて、その治療を非難することは科学としての医学として絶対あってはならないことなのです。
 また、臨床家がある治療方法を選ぶ場合、権威主義や商業主義や経験主義に惑わされてはならないのです。
 大学病院の先生が推奨しているからとか、著明な先生が行っているからというのが権威主義です。また、自分のやってきた過去の治療と新しい治療を比べても差がないと感じたからと考えるのが経験主義です。
 
 ここに企業のダイレクトメールやPR誌による推奨も加わって、信じて使用するのが商業主義です。大学の権威とメーカーの商業主義とが結びついて臨床家に影響を与えている場合もかなり多いのです。
 
 多くの歯科医師はインレーが30年以上再治療なしと言われても信用できないかもしれません。本当の歯科医療としてのむし歯治療を理解してもらうことはとても難しいことです。  
 
2023年02月28日 12:18