院長コラム No22 歯のホワイトニングは医療ではない
先日駅の近くのデパートに久しぶりに行ったところ、ホワイトニングの看板が出ていました。 新しい歯科医院でもできたのかと思ったら違いました。
このホワイトニングというのはセルフホワイトニングと言って、歯科医師や歯科衛生士が施術するのではなく、自分で薬を塗ったり光を当てたりするようです。
日本の法律では医師・歯科医師あるいは歯科衛生士以外が口の中を触れるのは違法となります。 従って医療機関以外では歯に施術することができないためセルフホワイトニングではお客さんが自分で施術するシステムとなっているが故にそのような呼び名となっているようです。
セルフホワイトニング施術の流れは次のようです。
1.スタッフから施術の説明を受けます
2.歯を磨きます(電動歯ブラシを使うところもある)
3.口の開口器を自分で装着します
4.鏡を見ながら歯にジェルを塗ります
5.自分でライトを当てます
6.開口器をはずして口をすすぎます
歯科医院でおこなうホワイトニングでは医薬品である高濃度過酸化水素などの漂泊剤などを使用していますが、セルフホワイトニングでは医薬品を使用できないためポリリン酸やメタリン酸または重曹など市販されているものを使用しています。
これらは基本的に表面の汚れを取るための洗剤ですので歯科医院で行うようなホワイトニングのような漂泊効果はありません。
セルフホワイトニングの効果は歯の表面の汚れをある程度は落とすことはできるので何となく白くなったと感じることはできるようです。
効果が弱いのに希望する人が多いのは、料金が安いというのが理由のようです。
また、最近はリップエステと言って唇専門のエステもあるようです。
リップエステはマッサージやクリームを使った保湿などで、張りのある唇にするという施術です。
セルフホワイトニングもリップエステも特に資格のない人が行ってもまったく問題ありません。
その一方で歯科医師や歯科衛生士が行うホワイトニングやリップエステを売りにしている歯科医院もたくさんあります。
そのような歯科医院の歯科医師は、資格がある歯科医療のプロが行うホワイトニングやリップエステは違うものだと言うかもしれません。
しかし、私から見ればどちらも医療行為ではないことに変わりはありません。 歯科医院というのは何をするところでしょうか。病気を治すところではないですか。
ホワイトニングやリップエステは病気の治療ですか。誰が考えても病気の治療ではありません。
最近の歯科医師が行っていることは、益々医療行為から乖離する傾向があると感じているのは私だけでしょうか。
2023年08月10日 11:47