【院長コラム】 No.25 歯周病を治療しない歯科医師たち
1月14日にホテルメトロポリタンエドモントで近代口腔科学研究会新年講演会が開催されました。演題は「誰も知らない本当の歯周療法」で講師の飯塚哲夫先生に3時間半近く、最新の歯周療法についてご講演をいただきました。
歯周病が治らないまたは治せない本当の理由は簡単にまとめると次の4つになります。
(1) プラックコントロールに問題がある
プラックコントロールを重要視していないため、多くの歯科医院で行われている刷掃指導は技術的なことだけを見ており歯周組織の健康状態とリンクしてません。
(2) 非外科療法に問題がある
手術などの外科的なことを行わずに歯周病を治すことを非外科療法と言います。 多くの歯科医師は歯石を悪者にして、患者さんにも歯石を取ることを勧めますが、 歯石は完全に除去する必要はありません。またスケーリングやルートプレイニングといった処置は治療効果に限界があることを認識しておく必要があります。
(3) 外科療法に問題がある
進行した歯周病の場合は手術が必要な場合もあるのですが、日本歯周病学会が勧めている手術法には問題があります。本当の歯周外科は口腔外科と歯周療法の知識の両方を持っている歯科医師にしかできません。
(4) 定期検査と定期処置に問題がある
日本歯科医師会は歯周病を予防するために定期検診を受けましょうと盛んに言っていますが、一般的に行われている検診と処置は歯石を取って形だけのブラッシング指導をしているだけです。 詳細は省きますが、定期検査と定期処置でやらなければならないことは多枝にわたり、単純なものではありません。
講演会の後に考え込んでしまったのですが、歯科医師は歯周病を治す能力以前の問題として、治す気が本当にあるのでしょうか。歯周病の治す能力が高いとか低いとかの問題ではありません。 歯周病を治す気がほとんどの歯科医師にないというのが現実です。歯周病が治らなくてもほとんどの歯科医師はまったく困らないのです。
当院に来院する患者さんの中には、進行した歯周病がありながら、一度も歯周病について話を聞いたことがないという患者さんは多数います。
歯科医師が歯科の医師ではなく、歯の修理工、歯の大工、歯の美容師さんだと考えれば、歯周病を治す気のない歯科医師がほとんどだということも、納得できてしまうのです。
特別な場合を除いて、歯を失う原因はむし歯がこじれたか歯周病が進行した場合がほとんどです。 むし歯と歯周病を完全に治せばインプラントは必要ありません。
ラジオやテレビなどでインプラントを宣伝しているような歯科医院は病気を治していません。 当然歯周病だけでなく口の中の病気の治療など全く関心がない人達なのです。
2024年01月16日 10:23