佐倉歯科口腔クリニック|むし歯・歯周病|さいたま市大宮区

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院長コラム No.27 歯列矯正を始めた藤井聡太八冠



将棋の藤井聡太八冠が歯列矯正をしているようです。藤井さんは少し前歯が出て、歯が重なっていましたから見た目を気にして矯正を始めたのでしょう。

小学校や中学校での歯科健診があると、その後疾病通知を持ってくるお子さんがいます。 その疾病通知に歯列・咬合・顎関節の状態という項目があります。

 日本学校歯科医会のマニュアルによりますと歯列・咬合・顎関節の状態は以下の基準で健診するよう書かれています

 ●重度の歯列異常
 ①叢生:隣接歯が互いの歯冠幅径の1/4以上の重なるもの
 ②正中離開:上顎中前歯間に6mm以上の間隙  (萌出が歯冠長の1/3以下は除く)
  ■上唇小帯の肥厚によるもの
  ●重度の不正咬合
 ③反対咬合:3歯以上の反対咬合
  ■1歯でも骨格性を疑う下顎前突
 ④上顎前突:オーバージェット8mm以上
 ⑤開咬:上下顎前歯切線間に垂直的に6mm以上
  ■過蓋咬合、交叉咬合なども記載する。
  ■歯数や程度に関係なく、現時点で精検が適当とおもわれるもの

 このような基準で健診をしたらかなり多くの児童、生徒が要精検になってしまいます。 本当にこの基準は必要なのでしょうか。
 矯正歯科のテキストブックのほとんどには歯列不正や不正咬合は有害であると書かれています。不正咬合や歯列不正は噛むことの障害、発音の障害、顔の筋肉の障害、心理的な障害、むし歯や歯周病などの原因になるということのようです。
 口蓋裂や口唇裂といった先天的な問題を持っていて、歯列不正も不正咬合もあるお子さんの場合は、たしかに発音障害や咬みにくいという問題がある場合もあります。 しかし、それは歯列不正があるからではなく口蓋裂などの問題が大きく影響しているからです。

 
 先天的な障害がない場合、不正咬合や歯列不正を矯正することは、むし歯や歯周病の予防にもあまり役に立たないようです。アメリカの歯周病学会は30年以上前に「不正咬合や歯列不正を正すことが歯周病を予防するという科学的根拠は欠如している」と発表しています。
また過去の数多くの論文から歯周組織の健康に及ぼす矯正治療の効果には信頼すべき科学的根拠はないと結論づけている研究もあります。
 むし歯への影響はどうでしょう。歯列不正特に叢生(乱杭歯・歯が重なったりしている)とむし歯に関する論文を調べた結果、そのような論文は極めて少ないことや科学的根拠の高い論文はないという報告もあります。

 特別な場合を除き、不正咬合や歯列不正に医学的医学的な意味がほとんどないことを考えると矯正治療というものは審美的な改善を目的として行うものと考えたほうがいいと思います。
 審美的な問題を本人や保護者が気にしていれば、学校健診で疾病通知をもらわなくても歯列矯正をするでしょうし、疾病通知をもらっても歯並びが気にならなければ矯正をする必要はないのです。

 
 反対咬合で有名なスポーツ選手には柔道でロサンゼルスオリンピック金メダルのJOC会長の山下泰裕氏や野球の松井秀喜氏、内川聖一氏などたくさんいます。彼らが子供のころ矯正をしていたらあれほどの選手にならなかったかもしれません。 歯列矯正は見た目が気になったら必要最小限やればいいのです。

 
2024年03月20日 10:05