佐倉歯科口腔クリニック|むし歯・歯周病|さいたま市大宮区

誤解と間違いがあふれる歯科治療の現実からあなたの歯を守りたい。歯科治療の真実を知ってもらうことが佐倉歯科口腔クリニックの願いです。

HOMEブログページ ≫ 院長コラム No29 PMTCの誤った考え方 ≫

院長コラム No29 PMTCの誤った考え方


 
 ウエルテックという歯磨き粉などを販売している会社から「患者さんに寄り添ったPMTC」という小冊子が送られてきました。
  最近、このPMTCとかクリーニングという言葉は患者さんの間にも浸透しており、クリーニングを主訴として来院する患者さんもいます。しかし日本ではこのPMTCという処置が間違って浸透してしまったようです。
 
 PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)はスウェーデンのAxelssonという予防歯科の先生が提唱した概念です。
 Axelssonは「PMTCは専門家による機械的プラークコントロールであり、歯面研磨のことではない。」と定義しています。  
  具体的な方法としては「電気エンジンとフッ化物配合研磨剤を用いて、歯肉縁上から縁下3㎜までのすべての歯面からプラックを取り除くことである。」としています。
  ところが、日本ではPMTCというと、様々な処置がおこなわれているようです。  歯周病の治療としての処置や、歯石除去、ステイン除去、歯のクリーニン グ、口腔内の清掃など多肢に渡り、それぞれの歯科医院の独自の判断で行われているようです。
 日本ではPMTCという言葉だけを利用し、一部の歯科医師が勝手に定義を変更して自分の考えを広めているだけと考えてください。
 患者さん自身による質の高いプラークコントロールができれば、AxelssonのいうPMTCは必要ありません。この効果のあるセルフケアというのが難しいので    す。
  歯科先進国と言われるアメリカの予防歯科の論文にもPMTCの必要性や有効性を示しているものはないようです。
 今回送られてきた小冊子で紹介しているPMTCは完全に歯面研磨(歯の表面の着色や歯石を取る)の説明になっていました。 歯の表面を磨いても一時的に歯がきれいになることはあっても、むし歯の予防や歯周病の予防効果はほとんどないことを理解してください。
  
 医療効果のある定期的な処置としては、歯周病のメインテナンスで行われるperiodontal debridementという処置があります。periodontal debridementというのは、少し専門的な話になりますが、歯の根の表面だけでなく歯周ポケットスペースや歯周組織の軟組織なども対象にプラック除去を行うことです。
  歯周炎という病気は完全に治ったとしても、油断しているとその後再発することがしばしばあります。歯周炎を再発させずに健康な状態を維持していくためには、毎日の患者さん自身によるプラックコントロールと歯科医院で受ける定期的な処置を継続していくことはとても重要なことです。
2024年07月24日 18:43