佐倉歯科口腔クリニック|むし歯・歯周病|さいたま市大宮区

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院長コラム No37 1億6,707万7,222円の薬と50年間変わってないむし歯の治療費


日本で最も高価な薬は、2020年5月20日から保険適用された「ゾルゲンスマ」です。価格は1患者あたり1億6,707万7,222円で、現時点では国内最高額の一度限りの治療薬です。
ゾルゲンスマとは?
ゾルゲンスマ(一般名:オナセムノゲン アベパルボベク)は、乳幼児の難病である脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬です。SMAは遺伝子の変異によって筋肉が進行性に萎縮していく病気で、ゾルゲンスマは遺伝子治療によってこの原因に作用します。
なぜそんなに高いの?
この薬が高額な主な理由としては、以下の点が挙げられます:
  • 希少疾患の治療薬であること: SMAのように患者数が少ない疾患の場合、研究開発にかかった費用が少数の患者さんに集中するため、薬価が高くなる傾向があります。
  • 研究開発の費用: 薬の開発には10年以上の期間と数百億円規模の研究開発費用がかかることがあります。特に遺伝子治療薬のような最先端の医薬品は、高度な技術と長い開発期間が必要です。
  • 高い効果と利便性: ゾルゲンスマは一度の点滴注射で治療が完了する可能性があり、これまでの治療薬と比べて利便性が高いとされています。
患者さんの負担は?
「1億円を超える薬だと、治療を受けられないのでは?」と心配になるかもしれませんが、日本には公的医療保険や高額療養費制度があります。これにより、実際に患者さんが自己負担する金額は一定額に抑えられます。また、脊髄性筋萎縮症は小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象であり、自治体による医療費助成もあるため、自己負担額がほとんど発生しないケースも多いです。
それでは皆さんむし歯の治療にはいくらかかるか知っていますか
歯髄まで進行していないむし歯の場合、感染した歯質を完全に取り除き、深い部分はセメントなどで埋めます(裏層といいます)
最終的な形成をして型を取ることになります。
ここまでがむし歯の治療です
保険治療ではう蝕歯インレー修復物形成と言われています
その後技工士さんが金属で修復物を作り、形成した歯に装着することになります。修復物を装着することは医療行為というより、修復行為になります
むし歯で感染した歯質を除去して裏層して形成する費用はどのくらいか皆さん知っていますか
1200円です
深いむし歯の場合1歯でもかなり時間がかかる場合がありますが、それでも1200円は変わりません
この1200円という費用、なんと昭和51年から変わってないのです
昭和51年当時は即日充填処置(即処)と呼ばれて1100円でした。それに感染した象牙質をチェックするカリエスデンティンテストというのが100円ついていましたので、併せて1200円です。
50年間むし歯の治療費が全く上がっていないのは異常だと思うのですが、日本歯科医師会は強く抗議したことはないようです
詰める物の費用は上がっているのではないかと思われるかもしれませんが、それは金属代が異常に高騰して、技工料金が上がることによるものであり、歯科医師の収入には直接結びつきません
1億6,707万7,222円の薬が保険適応になる一方で、むし歯の治療は50年間1200円
命と歯の重要性を比較するわけではありませんが、50年間むし歯の治療費が変わってないことはどう考えてもおかしいと思いませんか
 
 
 
2025年11月27日 09:41