院長コラム NO44 納得できる最期を迎えるために - ACP(人生会議)のすすめ
先日、新聞で「高齢者は十分な医療が受けられないのか」という記事を目にしました。平均寿命が延びたことは喜ばしいことですが、ただ胃ろうなどで命を長らえさせることが本当に本人のためになっているのか、ふと立ち止まって考える必要があります。それは時に、家族の「生きていてほしい」という自分本位の考えになってはいないでしょうか。どこまで医療を行うか。その答えは、患者さんご本人、ご家族、そして医師による話し合いの中にしかありません。周りが勝手に決めるべきものではなく、「家族も本人も納得できる最期」を迎えることが何よりも大切です。
しかし現実には、将来の医療やケアについて前もって話し合う「ACP(アドバンス・ケア・プランニング:人生会議)」は、まだ十分に浸透していません。
いざ判断力が低下してからは、本人の本当の気持ちを聞き出すことは難しくなります。だからこそ、「自分の意思がはっきりと言えるうち」に話し合っておくことが理想なのです。
「終活」というと重く感じられるかもしれませんが、これは大切な人の尊厳を守るための前向きな対話です。「もしものときはどうしたいか」を共有しておくことで、ご家族が後になって深い悩みに苦しむことも防げます。
単に長生きできたことだけを喜ぶのではなく、本人も家族も「納得のいく最期だった」と心から思えること。それこそが私たちが目指すべき医療です。当院は、口腔の医療を実践するものとして、皆様が最期まで自分らしく生きるための伴走者でありたいと願っています。今日を機に、ぜひご家族と「もしものときの医療」について話してみませんか。
2026年10月31日 13:07
