佐倉歯科口腔クリニック|むし歯・歯周病|さいたま市大宮区

誤解と間違いがあふれる歯科治療の現実からあなたの歯を守りたい。歯科治療の真実を知ってもらうことが佐倉歯科口腔クリニックの願いです。

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院長コラム No.17 診療行為は営業ではない

新聞に西武ライオンズがベルーナドーム近くに診療所を作り、チームのスポーツドクターが一般の方の診療も行うという記事が掲載されていました。
記事の中でちょっと気になったことがあります。
診療所は月曜から土曜まで営業していますと書かれていましたが、診療所は営業行為を行っているところではありません。
歯科医院に対しては営業とかお客さんなどという方が時々いますが、新聞記者が記事の中で整形外科の診療所を営業していると書いているのにはびっくりしました。
国税庁のホームページによりますと営業の意義について次のように書いてあります。
「一般通念では、利益を得る目的で、同種の行為を継続的、反復的に行うことをいいます。営利目的がある限り、現実に利益を得ることができなかったとしても、また、当初、継続、反復の意思がある限り、1回でやめたとしても営業に該当します。
 具体的にどのような行為が営業に該当するかは、商法の規定による商人と商行為から考えられます。
 商人には、自己の名をもって商行為をすることを業とする固有の商人と、店舗その他これに類する設備(商人的施設)によって物品の販売を業とする者及び鉱業を営む者を商人とみなす擬制商人とがあります(商法第4条)。
 商行為は商法に列挙されていますが、営業とすると否とにかかわらず商行為とする絶対的商行為(商法第501条)と、営業としてしたものは商行為とする営業的商行為(商法第502条)及び商人がその営業のためにする行為を商行為とする附属的商行為(商法第503条)があります。更に、特別法による商行為として、信託の引受け、無尽業等があります。
 このことから、これらの行為をなすことを業とするものは商人となり、営利を目的として同種の行為を反復継続する場合は営業に該当することになります。
 したがって、商行為に該当しない医師、弁護士等の行為は営業にはならず、また、農業、漁業等の原始生産業者が店舗をもたずにその生産物を販売する場合も商人の概念から除かれますので営業にはなりません。
―以下省略―」
つまり医師や歯科医師の診療行為は営業行為ではなく、診療行為です。
営業行為ではないので診療所が出す領収書には印紙を貼る必要がないのです。
診療所に通院してくる方は患者さんであってお客さんではありません。
営業ということになれば、お客さんを相手に利益を追求する行為をやることになってしまいます。
しかし、法的にはそういうことになりますが、多くの歯科医院は利益を上げることだけを考えて、患者さんをお客さんと考えて営業行為をやっているというのが、実態ではないでしょうか。
利益になることはやるが、もうからないことはやらない、これはインプラントや審美歯科などをやっている歯科医院に顕著にみられる傾向があります。
儲けの対象にならないように気をつける必要があります。
 
 
2023年01月31日 15:32

院長コラム No.16 見た目ばかり気にする歯医者と患者

先日、さいたま市が実施している妊婦健診を希望した方が来院しました。
さいたま市では以前各区の保健センターで行っていた妊婦健診を数年前から、自宅近くの歯科医院で受けることができるようになりました。
この妊婦健診は歯科医師会がさいたま市から委託されている事業ですので、歯科医師会の会員でないと実施することができません。
当院を受診した妊婦さんもかかりつけの歯科医院があるのですが、そこの歯科医師が歯科医師会の会員でないため当院に来たということでした。
妊婦健診ではむし歯の有無や歯周病の状態、その他口の中に問題点がないかを診ます。
その妊婦さんの口の中にはむし歯もありましたし、歯ぐきからの出血も著明で歯周炎の疑いもある状態でした。
妊婦さんに聞くと今通院している歯科医院での治療は終わり、今は定期検診で通院しているというのです。
どのような治療をしてきたのですかと聞いたところ、歯列矯正をして、奥歯に白いかぶせ物をして、歯の根が出て見た目が気になるところは歯肉を移植して、ホワイトニングもしたというのです。
この妊婦さんの話を聞いて、今まで通院していた歯科医院の歯科医師は典型的なデンティスト(歯大工)だということが分かりました。
歯列矯正も白いかぶせ物もホワイトニングも歯の根を歯肉でカバーすることも病気の治療ではありません。見た目が良くなることはあっても病気が治るわけではありません。
見た目が良くなることと病気が治ることは全く別のことです。
結局その妊婦さんはむし歯という病気も歯周炎という病気も治療されず放置されてきたわけです。
患者さんの中には見た目を気にして来院する人も少なくありません。確かに見た目を良くすることも必要ですが、それは病気が治った後に考えることです。
医科の診療科目には形成外科という診療科があります。形成外科とは失われた機能や外貌を修復する診療科です。具体的には体表面の形態や機能の異常を治療する科です。また、「創傷の専門家」としてきず、きず跡、治らないきずをより早く、よりきれいに治す事を得意とする診療科です。
例えば乳がんで失った乳房を再建するのも形成外科の大切な治療です。
しかし、多くの歯科医師は見た目を直すことばかりに目が行き、病気を治すことに関心がないようです。審美歯科やホワイトニング、歯列矯正を診療科目の中心においている歯科医院がとても多いことは困ったことです。
今回の妊婦さんは、どうしてもかかりつけの歯科医院に通院したいというので、よく相談して見るように話しましたが、病気の治療をしてもらえるか心配です。
 
2022年12月30日 09:51

院長コラム No.15 大学病院の権威

週刊誌や月刊誌などに良い歯科医院の見分け方とか最新の歯科医療などという特集が掲載されることがあります。
良い歯科医院の基準は誰が決めているのでしょう。最新の歯科治療と言われているものは本当に患者さんのためになっているのでしょうか。
その記事を書く人がそれらを判断する一つの材料として大学病院の教授が言っているからとか、大学の歯学部長がやっているからということを基準にしているようです。
本当に大学病院というところは信用できるところなのでしょうか。
  作家で精神科医でもあるなだいなだ氏は著書「権威と権力」の中で、「昔も今も医者は特に変わっていない。変わったのは患者である。医学的な知識を持った患者も多くなってきて医者の手のうちが分かってきたから、権威も落ちた」と述べ、
 また「一部の人たちの知識の増加とマスコミの力とで、医者の権威がくずれてしまった。権威というのは、比較の問題だ。知識の落差の問題、落差の持つエネルギーの問題だ」とも述べています。
 
 確かに、昔はお医者様と崇められ、時には神様のように思われていた医師も、現在では医師というだけでは昔のような権威は無いようです。
 
 しかし、今でも大きな病院の持っている「権威」というのは、患者さんが病院を選ぶ際に、かなりの影響を与えているのではないでしょうか。
 特に東京大学医学部附属病院を頂点とする国立大学の医学部附属病院は、地域の中核病院として絶対的な権威を持っています。
歯科で言いますと国立大学としては一番歴史のある東京医科歯科大学の歯学部は日本の歯科界においてそれなりの権威を持っているようです。
 
 大学病院だから普通の民間病院とは違う高度な医療をしてもらえるだろうとか、大学病院の先生だから優秀だろうと患者さんが考えてもおかしくはありませんが、 大学病院だからといって、全ての治療で高度な医療ができるわけではありません。また、医師も優秀な先生もいれば、能力のない先生もいます。
 
 私の知人の家族がある病気で、近くの病院を受診したところ、その病気の手術ができるのは関東地方では 3つの大学病院だけと言われたそうです。
 また、以前読んだ本に、ある大学の附属病院では、自分のところで手術ができない心臓疾患の子供を他の大学に紹介しないで、抱え込んでしまっているような例もあるという話が書いてありました。 大学病院としての面子の問題なのでしょう。
 
 信じられないような話ですが、大学病院にはそういうところもあるということを念頭において、受診した方が良さそうです。

 
2022年11月30日 12:04

院長コラム No14  歯科医師の能力と良心

 先日、他院で治療中の歯が痛く、顔まで腫れてきたという患者さんが初診できました。
話を聞くと、患者さんは、歯が痛いので近くの歯科医院に行ったところ、当日は応急処置をして薬をもらい、次回の予約は2週間後と言われ、予約を取り帰りました。
 しかし、翌日になっても痛みは変わらず、2日後には顔まで腫れてきたのでその歯科医院に行ったところ、そこの歯科医師は原因の歯の処置を何かして、次回の予約は2週間後に入っていますから、その日に来て下さいと言ったそうです。
その翌日、腫れも痛みも益々ひどくなってきたため電話をしたところ、今日は混んでいて診ることはできないと断られてしまったというのです。ひどい話です。
 また、ある患者さんは右上の歯がしみるということで、近くの歯科医院に半年通院していました。半年通院しても症状が改善しないと話したところ、かみ合わせが悪いからしみるので、かみ合わせを治すためには歯列矯正が必要だ、費用は50万かかると言われたというのです。びっくりした患者さんは本当に歯列矯正が必要なのか、しみる原因は何か診て欲しいと来院しました。
レントゲンを撮ってみると、しみるという歯には歯随まで達した大きなむし歯がありました。
しみる原因は知覚過敏ではなく進行したむし歯だったのです。
 患者さんに通院中レントゲンを撮らなかったのか聞いてみたところ、一度も撮ってないというのです。しみるという歯の診断をするのにレントゲンを撮らないというのは歯科医師として信じられないことです。
レントゲンも撮らずに50万円で歯列矯正を勧めるとは歯科医師の基本的な能力を疑がってしまいます。
歯科医師の能力は患者さんにはわからないのです。
 また、先日歯ぐきが腫れて来院した患者さんは、ある歯科医院に数年通院して、その後メインテナンスということで3か月ごとにその歯科医院に通院していたと言います。レントゲンを撮ってみますと全顎に進行した歯周炎が認められました。今まで通院していた歯科医院では歯周病の話は全く聞いたことがないと言います。それどころか、ここ1年半歯科医師に口の中を見てもらったことがないというのです。歯科衛生士がメインテナンスと称して何らかの処置を続けていたようです。
 例えばリハビリで通院する機会が多い整形外科では、理学療法士がリハビリだけをする日もありますが、定期的に医師が診察して、その効果を判断していると思います。
それが医療というものです。
患者さんを定期的に来院させて1年以上医師が診察しないという病院や診療所は絶対ありません。
今回紹介した3つの歯科医院の歯科医師は医療を行う能力も良心もないようです。
患者さんがかわいそうです。
 
2022年10月02日 14:16

院長コラム No13 医学部附属病院の歯科口腔外科

 医学部の附属病院や総合病院から時々診療科案内などが送られてきます。 患者さんを紹介してもらうことが目的なのでしょう。
 ある医科大学の附属病院の歯科口腔外科の診療内容には、次のように書いてありました。
 「口腔外科疾患が対象で、特に口腔悪性腫瘍は、手術、化学療法、放射線治療、まで行っております。最近では分子標的薬の投与、動注化学放射線治療や、他施設との連携で、粒子線治療も行っております。-以下略―」
 
 歯科口腔外科を担当しているのは、歯科医師で医師ではありません。 確かに、日本の法律では歯科医師の資格があれば、口腔悪性腫瘍の放射線治療を行っても違法ではありません。
 しかし、癌が顎口腔領域だけでなく、全身に転移してしまったら歯科医師はもうお手上げです。
 
 医師の中には頭頸部の悪性腫瘍を専門に扱っている方がいますから、そのような方に治療してもらったほうが、適切ではないかと私は考えています。
 
 また、この歯科口腔外科では紹介時のお願いに「う蝕や歯周病などの歯科治療は他施設に受診いただいております」と書いてあります。
 歯科診療というのはう蝕や歯周病だけではありません。この病院の歯科口腔外科が対象疾患にしている埋伏歯の抜歯や唾石症や舌痛症の治療は歯科治療ではないというのでしょうか。
 
 歯科治療ではなく口腔外科の治療だと言いたいのでしょうが、口腔外科は歯科治療の中の一部と考えるのが一般的です。
 
 歯科治療はやらないと言う一方で、この歯科口腔外科ではインプラントも入れているようです。 インプラントを入れるというのは、典型的な歯科治療と言われているものです。
 
 実際は病気を治しているわけではないので、治療ではないのですが、俗にインプラント治療などと言われています。
 
 インプラントを口腔内に入れるためには外科的な知識だけではなく、インプラント周囲炎についての知識、上部構造(インプラントの上にかぶせる物)を作るための噛み合わせの知識等歯科治療の知識がいろいろと必要なはずです。
 この病院の歯科口腔外科の先生たちはそれらの知識をすべて持っているのでしょうか。
 
 そうなると口腔外科の専門医という人たちは何をやっている人たちなのでしょうか。本当に専門医なのでしょうか。
 
 患者さんの中には、医学部の歯科口腔外科や総合病院の歯科口腔外科だから医師だと思っている方が、少なからずいるようです。また彼らも自分たちを医師の一種と考えているようですが、歯学部を出た歯科医師であるということを忘れないようにしてください。
 
2022年08月31日 12:32

【院長コラム】 No.12 歯科医院の選び方

  これだけ歯科医院が増えてくると、患者さんも歯科医院選びで悩んでしまうでしょう。  
 歯無しにならないために、歯科医師の探し方、選び方、かかり方は大変重要なことなのです。
 
  しかし、実際に歯科医院を選ぶ前に考えなければならないことがあります。  
 それは良い歯科医院とは何かということです。 一般の人が考える歯科医院のイメージというのは、痛い、通院期間が長い、費用がかかる、治療が苦痛などだそうです。
 ということは、痛くなく、早くて、安くて、苦痛のない歯科医院が良い歯科医院なのでしょうか。
 
 そのように考えるのはある意味、説得力があります。
 ある週刊誌に掲載されていたあるアンケートによりますと、 「歯医者さんというのは、医者というより、職人さんという感じ」とか「職人という感じですか、ヤットコペン、ペンチのたぐいです」というような答えが多かったといいます。
 
 つまり、歯科医師を口の中の病気を治している医師でなく、穴を埋めたり、金属の棒を埋めたり、歯を動かしたり、歯を白くしたりする人と定義すれば、痛くなく、早くて、安い歯科医院は良い歯科医院なのかもしれません。
 
 しかし、内科、外科、産婦人科、耳鼻咽喉科、整形外科などの医科の診療科では、痛くないとか早いとか、まして安いなどということは良い医院の判断材料にはなるはずがありません。
 
 つまり、ほとんどの歯科医院は口の中の病気の治療をしていないのです。病気の治療をしていると考えているのは、歯科医師だけです。
 
 「リップエステ」なるセミナーを開催したり、東京都歯科医師会が都民向けに 「白い歯でホワイトクリスマス」などという講演会を開催したり、歯科医師会が主催でホワイトニングや審美歯科の講演会を開いているのです。
 歯科医師会がこのような講演会を医療として開催しても、一般の人は医療行為だとは考えません。
 
 患者さんにとって本当に良い歯科医院とはどういう歯科医院なのでしょうか。
 例えば、目の病気を治すのに美容外科へ行く人はいないでしょう。また、鼻を高くしたいのに耳鼻科へ行く人もいないでしょう。  
 つまり、何を目的にして、歯科医院に行くのかが問題になってきます。
 
  歯科医院は口の中の病気を治すことを希望する人が行くところです。  ですから、当然病気を治し口の中を健康にする能力がある歯科医院が良い歯科医院です。
  美容外科や美容院、エステではないことを理解する必要があります。

 
 
2022年07月29日 10:12

【院長コラム】 No.11 顎関節症という病名を使うのは日本だけ

 
 先日テレビの朝の番組で顎関節症を取り上げていました。
日本ではいまだに顎関節症という病名が使われています。学会の名称は今でも日本顎関節学会です。顎関節症という病名は、1949年にFogedという先生がtemporomandibular arthrosisという病名を提唱し、これを当時東京医科歯科大学教授であった上野正氏が「顎関節症」と訳したものです。
 
 しかしながらtemporomandibular arthrosisという病名は、この疾患の病名として適当ではなく、現在世界的には使われていません。 この疾患は多くの研究者によりその実態が解明され、数々の病名の変遷を経てtemporomandibular disorders(TMD)という病名を使用するのが一般的になっています。 
このTMDいう病名も現在ではいくつもの病態の集合した総称、umbrella term であるとされています。
 
 また、顎関節症の原因は咬合だとする理論は昔から存在していました。現在でも信奉している歯科医師がかなりいますが、世界的に見て、咬合調整を含め、矯正治療や修復処置のような不可逆的な方法で咬合を改変することは、ほぼ完全に否定されておりスプリント療法(マウスピースのようなもの)もほとんど意味がない治療法だとされています。
 
 顎関節症を咬合の問題と顎関節それも関節円板の位置だけでこの疾患を論ずる歯科医師も今でもいます。またその治療法が咬合調整や矯正治療、補綴治療などのデンティストリーが主な内容だと言われても、その古色蒼然とした考えには驚いてしまいます。
 
 2010年3月3日付けで,AADR(The American Association for Dental Research )(米国歯科研究 学会)からTMDの診断と治療についての声明が発表されています。 その声明で強調していることは次の3項目です。
 1)診断は診断機器でなく、問診による病歴聴取と身体的な検査によって行う、画像検査は必要に応じて行う。
 2)治療は保存療法によって行う。
 3)診断と治療は共に、身体のみでなく心理・社会的要素に対しても行う。
 
 つまり、診断は機械に頼ることなく、問診を詳細に行い、治療は不可逆的的な治療(矯正やかぶせることなど)を避け、ストレスなどの心理的社会的なことも考えて治療するということになります。
 
 この声明では、多くの TMD 患者の自然経過を調べた研究により,TMD という病気は時間経過とともに改善し,治癒していく疾患であることも示唆されています。 つまり、特別な治療をしなくても治ってしまうTMDの患者さんもたくさんいるのです。
 
 多くの歯科医師は開業医でも大学病院の歯科医師でも医師とは名ばかりのデンティスト(歯大工、歯の修理工)であるため、医療行為ができないだけでなく、それ以前の問題として医学的思考が苦手のようです。
 
 顎関節症の治療をすると言って歯列矯正をしたり、歯にかぶせ物をしたりする歯科医師にはくれぐれもご注意ください。

 
2022年06月25日 14:10

【院長コラム】 No.10 歯科医師とブラックジャック

 私達歯科医師は医療従事者ということで昨年から始まったコロナワクチンの接種を一般の人たちより少し早く受けることができました。今回医療従事者には事務の方まで含まれていましたが、基本的に医療従事者というのは当たり前のことですが医療の仕事している人たちのことです。
それでは医療というのは何でしょう。
 『広辞苑』で「医療」の項目を引くと,「医術で病気を治すこと」と説明しています。
簡単な文章ですが明確に説明しています。それでは医術とは何かというと病気や傷を診察・治療する技術のことになります。
この技術を持っている人が医療従事者ということになります。
医師、歯科医師、看護師、理学療法士、言語聴覚士、などがたくさんあります。
これらの職業に共通していることは全部国家資格で国家試験に合格しないと資格が取れないことです。
 皆さんは公益社団法人ACジャパンが放送している骨髄バンク登録を勧める公共広告を知っていますか。
CMの内容としては、ブラックジャックのような天才医師がいても、ドナーがいなければ、治せない患者さんがいます。
年間でおよそ2000人以上の方々が、骨髄バンクで、ドナーを探しています。
天才だけでは救えない
だから、あなたもドナー登録を、
あなたのドナー登録が、患者さんの命を救う
というものです。
「天才だけでは、救えない」
というテーマのCMです。
公益社団法人ACジャパンのホームページで見ることもできるので、是非とも見てほしいです。
メッセージとして、とても重要で、多くの方々に伝えるべきことだと思います。
 CMの揚げ足を取るつもりはありませんが、ブラックジャックは医師ではありません。なぜなら彼は医師の資格を持っていませんから、正確に言うと無資格の医師ということになり、法的には医療行為はできません。ドナーがいても法的にはブラックジャックは治療することができないのです。
資格があることと能力があることは同じではありません。能力があっても資格がなければ医療行為はできないのです。
 医療従事者の話に戻りますと、歯科医師は顎口腔領域の医療を行うことが法的に認められた国家資格をもった人たちです。
つまり歯科医師は法的には医療従事者です。しかし歯科医師は本当に医術で病気を治しているでしょうか。
 多くの歯科医院がHPで紹介している診療内容はインプラント、歯列矯正、ホワイトニング、審美歯科と称して白いものを詰めたりかぶせたりすることだけです。
 これらは医療行為ではありません。なぜならこれらの行為を行っても病気が治るわけではないからです。
インプラントを入れた時からその周りはインプラント周囲炎という病気が始まります。歯列矯正のほとんどは美容を目的としたものですし、ホワイトニングや審美歯科は美容目的でしかありません。
 歯科医師は医療従事者です。ブラックジャックにはできない医療行為が法的に堂々とできる職業なのです。
歯科医師は昔歯大工と言われ医師に馬鹿にされていたといいますが、今でも多くの歯科医師が行っている行為は歯大工仕事と言われても仕方ありません。
歯大工行為を教える歯学部の人気が医学部より低いのは当然の成り行きかもしれません。
 
2022年05月31日 16:27

【院長コラム】 No.9 歯科医師記念日と歯科医療

 5月2日は歯科医師記念日です。
なぜ5月2日になったかといいますと、
 1906年(明治39年)の5月2日に、歯科医師の身分や業務を確立する旧「歯科医師法」が施行されました。同年に旧「医師法」も施行され、これにより、医科と歯科は完全に分離し、医療と歯科医療が別個の独立した存在となりました。また、免許も医師と歯科医師に分かれました。その日を記念して、1957年(昭和32年)に日本歯科医師会(日歯)が制定したということです
 この旧歯科医師法ができたいきさつを正しく理解している歯科関係者は少ないようです。
医師法という医師に関する法律の必要性が関係者の間で具体的に論じられるようになったのは明治30年頃からです。当時の歯科医師の団体である「日本歯科医会」もこの医師法の制定には注目していました。当初歯科医師たちは歯科医師もこの医師法の対象になると思っていましたが、東京帝国大学医学部出身のエリート医師集団である「明治医会」は歯科医師に医師法を適用することに断固反対しました。その理由は、歯科医師は「医師」ではなく「職人」だということでした。結局医師法の対象にならない歯科医師達は慌てて歯科医師法を作ったというのが歴史上の事実です。
 歯科医師が増え、医師との違いが明確になってきたから、医師法と歯科医師法を別に作ったわけではないのです。
 現在の歯科医師が行っている仕事の内容はどうでしょうか。削って詰める、歯を殺してかぶせる、歯を抜いてインプラントを入れる、歯を白くする、歯に白いものをかぶせる、歯を動かして歯並びを良くする。これらの行為に医療と呼べるものはあるでしょうか。
いずれの行為も病気を治す行為ではありません。詰める物の材質が変わり、入れ歯がインプラントになるという変化はありましたが、歯大工仕事をやっている職人であることに変わりはありません。
 歯科医師が歯と口の病気を治している医師だとしたら、なぜ目や耳の病気を治している医師と社会的評価や大学に入学する際の難易度に大きな差が出るのでしょうか。それは一般的に歯科医師が病気を治す存在ではないからです。
 歯科医師法ができて116年経っても、歯科医師の仕事は本質的に変わっていないのです。
そのような歯科界ですが、当クリニックは少しでも患者さんのために歯と口の病気を治す医師として、日々研鑽し頑張っていきたいと思います。
2022年05月02日 15:41

【院長コラム】 No.8 歯列矯正は美容か治療か

ネット上に次のような記事が載っていました。
「新型コロナウイルスの感染拡大でマスク生活が長期化している間に、子どものころから気になっていた歯並びを良くするため思い切って歯列矯正を始めた。矯正するならばマスクで器具が隠れ、人と会う機会も減った今がチャンスだと思ったのだが、周囲に話すと友人や知人からも「実は私も……」と打ち明けられた。取材してみると、やはりコロナ禍で歯列矯正の需要が増えていたが、一方で治療を巡るトラブルも増加していた」

マスクで口元が見えないうちに矯正をしてしまおうという考えの人が増えているのでしょうか。

学校の歯科健診でも歯列不正でチェックされて、疾病通知を持ってくるお子さんがいます。
疾病通知をもらうと歯列不正を病気のように考えてしまう保護者の方もいるようです。

確かに、矯正歯科のテキストブックには不正咬合や歯列不正は有害であると書かれていますし、多くの矯正歯科専門医と称する人たちも同様のことを言っています。
つまり、不正咬合や歯列不正は咀嚼機能障害、発音障害、筋機能障害、心理障害、顎関節障害、むし歯や歯周病などの原因になるということのようです。
しかし、それらの疾患と不正咬合との関係を科学的に実証した研究は見当たらないようです。
 
アメリカ歯科医師会雑誌に掲載されたある論文では1980年から2006年までに発表された数多くの論文から矯正治療と歯周組織(歯の周りの歯ぐきや骨など)の健康との関連を調査し、歯周組織の健康に及ぼす矯正治療の望ましい効果には信頼すべきエビデンスはないと結論づけています。
 
また、むし歯と叢生(でこぼこした重なった歯並び)との関連についても今までに発表された論文は適切な研究方法や質の高さに欠けており、エビデンスの高い論文はないと指摘されています。
 
口唇口蓋裂のお子さんの矯正治療は公的保険の給付の対象になっています。しかし、それ以外の矯正治療は美容が目的なので健康保険の対象にはならないのです。
 審美的な問題を本人や保護者が気にしていれば、学校健診で疾病通知をもらわなくても歯列矯正をするでしょうし、疾病通知をもらっても歯並びが気にならなければ矯正をする必要はないのです。
 
反対咬合で有名なスポーツ選手には柔道でロサンゼルスオリンピック金メダルのJOC会長の山下泰裕氏や野球の松井秀喜氏、内川聖一氏などたくさんいます。彼らが子供のころ矯正をしていたらあれほどの選手にならなかったかもしれません。 

歯列矯正は見た目が気になったら必要最小限やればいいのです。
特に大人の歯列矯正は歯や歯周組織にとって害がある場合も多いので注意が必要です。
 
 
2022年04月03日 16:58